ストレートネック(スマホ首)とは?

最近よく聞く「スマホ首」とは、医学的にはストレートネックと呼ばれる状態です。
正常な背骨は横から見るとS字のようにカーブしていますが、首の骨(頚椎)のカーブが失われてまっすぐになった状態を指します。
呼び方はいろいろ
- スマホ首:
スマートフォンを長時間見下ろす姿勢から生まれた名前 - ストレートネック:
本来ゆるやかなカーブを描く首の骨(頸椎)がまっすぐになった状態 - テキストネック:
海外で使われる表現。スマホやタブレットで文字(テキスト)を見る姿勢が原因 - ミリタリーネック:
英語での医学用語。首がまっすぐで軍人の姿勢に似ていることから
どの名前も同じ意味
呼び方は違っても、どれも「首の自然なカーブがなくなり、首や肩に大きな負担がかかる状態」を指します。
スマホやパソコンの普及により、子どもから大人まで増えている「現代病」といえます。
進行すると、肩こりや頭痛だけでなく、手のしびれや自律神経の乱れを引き起こすこともあるため、早めの対応が大切です。
原因
ストレートネックは、日常の習慣から少しずつ進行します。
成人の頭の重さは体重のおよそ10分の1とされ、体重50kgの方であれば、5kgの重りを常に首で支えているのと同じです。
頚椎がまっすぐになってしまうと、この重さがダイレクトに首へかかり、筋肉や関節に過度なストレスを与えてしまいます。
スマホやPCの長時間使用
下を向いた姿勢が続くと、首に大きな負担がかかります。
頭を30度前に倒すと約18kg、60度では27kgもの負荷が首にかかると言われています。

デスクワークによる前傾姿勢
長時間の猫背姿勢は首の自然なカーブを失いやすくします。
枕の高さや生活習慣
高すぎる枕や合わない枕を使うと、睡眠中にも首の歪みが進行します。
症状
ストレートネックは首や肩のこりだけでなく、全身の不調につながります。
- 肩や首、肩甲骨まわりのこり
- 首の動きの制限(上を向きづらい、振り返りづらい)
- 頭痛・めまい・耳鳴り
- 目の疲れ、視力低下感
- 猫背や姿勢の崩れ
- 進行すると手のしびれや自律神経症状(不眠・倦怠感など)
セルフチェック
ご自宅でも簡単に確認できます。
- 壁に背をつけ、かかと・お尻・肩甲骨・後頭部を壁につける
- 無理なく4点がつけば正常
- 後頭部が壁につかない場合は、ストレートネックの可能性があります
※セルフチェックはあくまで目安です。違和感がある場合は整形外科での検査をおすすめします。

治療と対策
ストレートネックは放置すると慢性化しやすいため、症状に応じた治療が必要です。
- 診察・検査:
レントゲンなどで頚椎の状態を確認 - 薬物療法:
痛みや炎症が強い場合は薬でコントロール - リハビリ・運動療法:
理学療法士による姿勢改善、筋肉の柔軟性回復 - 生活習慣の改善:
デスク環境の調整、正しい姿勢指導、枕の見直し - 物理療法:
超音波治療器などによる血流改善
当院では、根本的な改善と再発予防を目指して、一人ひとりに合わせた治療・運動指導を行っています。
予防のポイント
- 長時間同じ姿勢を避ける(1-2時間ごとにストレッチ。参考:肩こり体操)
- スマホは目の高さで操作する
- デスクワーク環境を見直す(画面は目線の高さに)
- 軽い運動やストレッチを習慣に
- ピラティス(プローンプレスアップ)や体幹トレーニングで正しい姿勢を維持
まとめ
ストレートネックは「ただの肩こり」と見過ごされがちですが、全身に不調を広げることもあります。
気になる症状がある方は、早めに整形外科へご相談ください。






