肉離れ
種類
筋肉のケガにはいろいろな種類があります。
自家筋力によるもの
- こむら返り(筋肉がロックした状態。)
- 肉離れ(筋肉が引き裂かれた時に起こる。)
- 筋・腱断裂(筋肉の断裂、腱(アキレス腱など)の断裂した状態。)
筋力に外力が加わったもの
- 筋挫傷(強力な外力で叩かれて筋肉内に出血します。)
肉離れは、急なランニング(ダッシュ)や急なジャンプなどの動作により、太ももやふくらはぎの筋肉繊維が引き裂かれたときに生じるけがです。
筋断裂や筋損傷とも言われています。
スポーツをされている方には比較的起こりやすいものになります。
原因
肉離れは、筋肉に急激な負担がかかることで起こります。
瞬間的に強い負荷が筋肉にかかると、それに筋肉が対応できず、一部切れてしまうことがあります。
また、筋肉疲労の時や運動不足などで弱っている時では、激しい運動ではない日常のちょっとした動作で起きてしまうことがあります。
発生部位(よく起こる場所)
大腿四頭筋(ふとももの前面の筋肉)
ふとももの前側の筋肉です。
膝を伸ばすときに使うので、サッカーでシュートする際などに損傷することがあります。
ハムストリングス(ふとももの後面の筋肉)
ふとももの後ろ側の筋肉で、ダッシュするときなどに使われます。
短距離走など、一気に力を入れるとき、耐え切れずに損傷してしまう場合が多いです。
腓腹筋(ふくらはぎ)
ふくらはぎの肉離れは「テニスレッグ」などと言われ、身体を切り返すような動きで損傷することが多いです。
症状
肉離れの主な症状は
- 痛み
- 腫れ
- 内出血、皮下出血
- 歩行困難
肉離れが起きている部位には、鋭い痛みがあり、起きていない部位に比べ、腫れていたり、皮下出血を起こしていたりします。
重度の筋損傷をしている場合には、その痛みにより歩行困難になることもあります。
重症度
筋肉をストレッチしたときの痛みで重症度がわかります(角度は目安です)。
大腿四頭筋(大腿前面の場合)
うつぶせになり、膝の曲げ伸ばしの動作をします。
人に手伝ってもらい、90°以上曲がれば軽症、痛みが強く45°も曲がらないであれば重症です。
ハムストリングス(大腿後面の場合)
仰臥位(ぎょうがい:あおむけで寝ている状態)で、人に手伝ってもらい、膝を伸ばし下肢を70°以上持ち上がれば軽症。疼痛が強く30°も持ち上がらないときは重症です。
ふくらはぎ(腓腹筋)
立った姿勢で、ご自身でアキレス腱を伸ばす姿勢をとる。
ストレッチ痛が軽い場合は、軽症。膝を曲げてストレッチをしても痛む場合やつま先立ちが不可の場合は重症です。
診断方法
痛みのある部位を観察し、腫れや皮下出血の有無を確認します。
レントゲン検査を施行し骨折の有無をチェックし、エコー(超音波)検査を使用し筋肉の断裂や血種などを確認します。
応急処置について
肉離れを起こしたとき、クリニックを受診するまでの応急処置を紹介します。
患部を適度に冷やす
肉離れを起こしてしまったら、すぐに患部を冷やしてあげましょう。
濡らしたタオルで結構ですので、アイシングします。
ここで注意するのは冷やし過ぎないことです。
アイシングは皮下出血を抑えてくれますが、あまり冷やしてしまうと、回復に必要な血行を悪くする場合があります。
足を上げ、負担をかけない
受診ではとにかく患部に負担をかけないようにしましょう。
歩くのはできれば避け、どうしてもという場合には、痛みのある側には体重をあまりかけないように歩きましょう。
また安静にしているときには、足を心臓よりも高い位置にあげておくことで、腫れを軽減させることができます。
治療
<RICE処置>
基本はRICE処置を行います。
・Rest:患部の安静を保ちましょう。
・Icing:患部を冷やしましょう。
・Compression:サポーターや包帯を用いて圧迫しましょう。
・Elevation:患肢の挙上、患部を上げましょう。
肉離れは筋肉の損傷ですから、安静にして回復を待ちましょう。
<注意点>
安静は以下の点に注意しましょう。
- 患部を温めない
- 飲酒しない
- 運動、スポーツは避ける
血行を良くして肉離れによる内出血を助長してしまうため、患部の温めやお酒を飲むことは控えましょう。
またちょっと動かせるようになっても、筋肉はまだ傷ついたままであることが多いので、運動も避けるようにしましょう。
リハビリテーション
ある程度痛みや腫れがとれて来たら、安静にしている間に弱ってしまった筋力を強化するなどのリハビリテーションを行います。
スポーツをされている方は、軽いストレッチから筋力トレーニングへと移行し復帰を目指します。
当クリニックでは理学療法士(PT)によるリハビリテーションを行っています。詳しくはこちらをご覧ください
肉離れは再発の多い病気です。少し痛みが引いたからといって油断は禁物です。
肉離れを起こしてしまった時は、上記の応急処置を参考にしながら、我慢せず整形外科を早めに受診しましょう。
一緒に治療し、早く日常生活に復帰できるよう、お手伝いさせていただきます。