尿が急に出なくなった!
尿閉とは?すぐ受診した方がよい症状
公開日:2026/09/11

- 「急に尿が出なくなった」
- 「トイレに行きたいのに、ほとんど尿が出ない」
- 「下腹部が張って苦しい」
このような症状がある場合、「尿閉(にょうへい)」の可能性があります。
尿閉は、膀胱に尿がたまっているにもかかわらず、自分で十分に尿を出すことができない状態です。
特に、急にまったく尿が出なくなった場合は、我慢せず早めに医療機関を受診する必要があります。
尿閉とは?
尿閉とは、腎臓で作られた尿が膀胱までたまっているにもかかわらず、うまく排尿できない状態です。
「尿が作られていない状態」と「尿は作られているけれど出せない状態」は異なります。
尿閉では膀胱に尿がたまり続けるため、下腹部の強い張りや痛みを伴うことがあります。
尿閉には「急性」と「慢性」があります
急性尿閉
それまで尿が出ていたのに、突然まったく、またはほとんど尿が出せなくなる状態です。
強い尿意があるのに尿が出ず、下腹部が張って強い苦痛を伴うことがあります。
早急な対応が必要です。
慢性尿閉
少しずつ排尿しにくくなり、膀胱の中に大量の尿が残っている状態です。
急性尿閉のような強い痛みがないこともあり、本人が気付かないまま進行している場合があります。
「尿は出ているから大丈夫」と思っていても、実際には膀胱内に多くの尿が残っていることがあります。
尿閉の主な原因は?
尿閉にはさまざまな原因があります。
前立腺肥大症
男性では、前立腺肥大症が代表的な原因のひとつです。
前立腺が大きくなることで尿道が圧迫され、尿が出にくくなります。
もともと尿の勢いが弱い、排尿に時間がかかる、残尿感があるといった方が、何らかのきっかけで突然尿閉になることもあります。
薬の影響
薬の副作用によって尿が出にくくなることがあります。
例えば、
- 風邪薬
- 鼻炎・アレルギーの薬
- 一部の抗ヒスタミン薬
- 抗コリン作用のある薬
- 一部の向精神薬
などが排尿に影響することがあります。
特に前立腺肥大症がある方は、市販の風邪薬などを服用したことをきっかけに尿が出なくなることもあるため注意が必要です。
神経の病気
排尿は、膀胱だけでなく脳や脊髄、末梢神経によってコントロールされています。
そのため、
- 脳血管障害
- 脊髄の病気
- 糖尿病による神経障害
- 腰椎の病気
などによって膀胱の働きが低下し、尿閉を起こすことがあります。
手術や麻酔のあと
手術や麻酔の影響で、一時的に膀胱の収縮が弱くなり、尿が出にくくなることもあります。
女性でも尿閉になることがあります
尿閉は男性だけの病気ではありません。
女性でも、骨盤臓器脱、神経の病気、薬の影響などによって尿閉が起こることがあります。
お酒をたくさん飲んだあとも注意
前立腺肥大症がある男性では、多量の飲酒をきっかけに急性尿閉を起こすことがあります。
アルコールをたくさん飲んだあとに、
「強い尿意があるのに尿が出ない」
という場合には、我慢せず医療機関を受診してください。
こんな症状があれば早めに受診してください
次のような症状がある場合は、早めの受診が必要です。
- 強い尿意があるのに尿がまったく出ない
- 尿が数滴しか出ない
- 下腹部がパンパンに張って痛い
- 急に尿が出にくくなった
- 尿の勢いが極端に弱くなった
- 排尿後も強い残尿感がある
特に、尿がまったく出ず、下腹部が張って苦しい場合は、診療時間まで我慢せず速やかに医療機関を受診してください。
尿閉を放置するとどうなる?
膀胱に尿がたまり続けると、膀胱が過度に伸ばされてしまいます。
さらに状態が続くと、尿が腎臓側へ影響し、
- 水腎症
- 尿路感染症
- 腎機能の低下
などにつながる可能性があります。
そのため、「そのうち出るだろう」と長時間我慢することはおすすめできません。
尿閉はどのように治療するの?
急性尿閉では、まず膀胱にたまった尿を排出する必要があります。
一般的には尿道から尿道カテーテルを挿入し、膀胱内の尿を排出します。
その後、
- 前立腺肥大症
- 薬の影響
- 神経の病気
- その他の排尿障害
など、尿閉を起こした原因を調べ、必要な治療を行います。
泌尿器科ではどんな検査をするの?
症状や状態に応じて、
- 尿検査
- 血液検査
- 超音波検査(エコー)
- 残尿測定
などを行います。
超音波検査では、膀胱内にどのくらい尿が残っているか、腎臓に尿のうっ滞がないかなどを確認することができます。
腰の病気と排尿障害が関係することもあります
排尿をコントロールする神経は、脊髄や腰の神経とも深く関係しています。
そのため、腰の病気によって排尿障害が起こる場合があります。
特に、
- 強い腰痛
- 両足のしびれや力が入りにくい
- 股の周囲の感覚がおかしい
- 急に尿が出なくなった
- 尿や便を漏らすようになった
といった症状が重なっている場合は、神経が強く圧迫されている可能性があり、緊急の評価が必要になることがあります。
当院には整形外科と泌尿器科が併設されているため、排尿の問題だけでなく、腰や神経の病気が関係していないかという視点からも診療することができます。
まとめ
尿閉は、膀胱に尿がたまっているにもかかわらず、自分で十分に排尿できない状態です。
特に、
- 「急に尿がまったく出なくなった」
- 「強い尿意があるのに出ない」
- 「下腹部が張って苦しい」
という場合は、様子を見ずに早めに医療機関を受診してください。
また、尿の勢いが弱い、排尿に時間がかかる、残尿感があるといった症状は、尿閉になる前からみられることがあります。
当院では、泌尿器科専門医が症状や検査結果を確認し、一人ひとりの状態に合わせて必要な検査や治療をご提案します。気になる排尿症状がある方は尿がまったく出なくなる前にご相談ください。
関連コラム
このコラムの監修医師
北戸田ナノ整形外科泌尿器科クリニック
副院長早川 希
略 歴
- 2007.3 獨協医科大学卒業
- 2009.4 東京女子医科大学 泌尿器科
- 2009.10 戸田中央総合病院 泌尿器科
- 2012.4 東京女子医科大学 泌尿器科
- 2013.4 済生会川口総合病院 泌尿器科
- 2015.4 済生会川口総合病院 泌尿器科 医長
- 2016.4 江戸川病院 泌尿器科
- 2017.11 大野中央病院 泌尿器科 医長
- 2025.5 北戸田ナノ整形外科泌尿器科クリニック副院長
資 格
- 日本泌尿器科学会認定専門医
- がん緩和ケア 研修修了
- ロボット手術 Da Vinci console surgeon certificate
所属学会
- 日本泌尿器科学会
- 日本透析医学会
- 日本移植学会







